ホーチミン1区の建設現場
先週、ハノイとホーチミンを合わせて8日間ほど訪問した。テト(ベトナムの正月)の挨拶回りをするためである。2週間前ではあるものの、街は、飾り付けや電飾の準備が進められ、今年は2月14日のバレンタインデーと重なることからか例年よりも華やかに思う。テト用の食料品や花、プレゼント用の商品が溢れかえり、すでにもう、人々は浮かれ気分のようだ。
日本はというと、言うまでもなく、惨澹たる経済状況である。特に、私の会社と関係が深い建設産業となるとひどいもので、財政赤字、人口減少の流れの中で、10年前の半分にまで落ち込んだ市場の将来の回復を期待するのも無理があるように思う。
大臣は、建設会社の数が多すぎることを公言し、業態の変更や海外進出を促したい考えだ。
海外進出といっても、そう簡単な話ではない。日本の建設会社は数十年も前から海外において、主要な建設工事を手掛け、圧倒的な技術力でもって世界に貢献してきているが、これは、一握りの建設会社に言えることで、大多数の建設会社にとって海外進出とは、それこそ宇宙に飛び出す位の障壁を感じるばかりか、やっと海外で受注でき、喜び勇んで出向いたものの、苦労ばかりで大赤字というのは酒宴の席だけの話であろうか?
「日本の建設会社は、日本のODA案件と日本企業関連の工事には積極的だが、ローカルには殆ど入ってこない、本当は、技術が高い日本にお願いしたいのに・・・」、とは、あるベトナム高官の話。
「日本の企業は、お金の回収リスクばかりを気にする。お金の回収ができないとすれば、我々だって成り立たないのに・・・」、ベトナム民間建設会社の社長。
「ODA物件で、日本といっしょに仕事をすることが良くある。日本の技術者は優秀だが、現地に赴く日本人が少ないために、難しいところだけを日本が施工し、我々を指導することにまで手が回らない。我々自身で積算や計画ができるようになりたいのに・・・」ベトナム国営大手建設会社の社長。
「日本の建設会社は判断が遅い。判断の遅さで、300haの開発案件を、ある国の建設会社に持って行かれた。その国からは、数十という下請け建設会社がやって来て工事をしている。残念だ・・・」人民委員会高官。
日本では仕事がない。海外では、日本の技術が求められている。
日本の建設業界は世界で貢献できる・・・疑いようのない事実である。
何も怖がることはない。心配のあまり、あきらめる必要もない。
海外障壁を低くし、考えられる「リスク」を一つ一つ「課題」に置き換え、コミュニケーション良く、現地と協力して解決する方法はいくらでもある。
「私ひとりでは何もできない」けれど、「私たち」なら、評価され尊敬される日本企業に成りえるだろう。
私たちから、一歩踏み出そうではありませんか?
来年のテトは、もっともっと活気に満ち、華やかで賑やかだ。
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